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浦和地方裁判所 昭和62年(わ)352号 判決

本店所在地

埼玉県戸田市笹目二丁目三番地の一〇

大東住研株式会社

(右代表者代表取締役 五十嵐三二)

本籍

東京都練馬区谷原六丁目二〇番

住居

同区谷原六丁目二〇番一七号

会社役員

五十嵐三二

昭和一六年三月五日生

本籍・住居

浦和市大字白鍬七七〇番地五

会社役員

佐藤昇

昭和一九年一〇月一六日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官倉又彰出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

一  被告人大東住研株式会社を罰金二五〇〇万円に、被告人五十嵐三二及び佐藤昇を懲役一年に各処する。

一  被告人五十嵐及び同佐藤に対し、この裁判確定の日から三年間それぞれの刑の執行を猶予する。

一  訴訟費用はこれを三分し、三分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人大東住研株式会社(以下「被告会社」という。)は、埼玉県戸田市笹目二丁目三番地の一〇に本店を置き、テラス等一般住宅付属設備の施工及び販売等を目的とする資本金六〇〇万円の株式会社であり、被告人五十嵐三二は、被告会社の代表取締役、被告人佐藤昇は、取締役として、それぞれ業務を統括しているものであるが、被告人五十嵐及び同佐藤は、共謀の上、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部の除外、仕入の水増し及び架空給与の計上等の方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和五七年八月一日から同五八年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四一九九万一六〇一円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年九月三〇日、埼玉県川口市西川口四丁目六番一八号所在の所轄西川口税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六六八万六五六六円でこれに対する法人税額が一四〇二万三四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五八二三万六〇〇〇円と右申告額との差額四四二一万二六〇〇円を免れ、

第二  昭和五八年八月一日から同五九年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七六四一万六五四四円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年一〇月一日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一六三万八九〇九円でこれに対する法人税額が三六二万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三一六一万八五〇〇円と右申告税額との差額二七九九万二九〇〇円を免れ、

第三  昭和五九年八月一日から同六〇年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七四九一万八一一二円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年九月三〇日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六四万六三〇四円でこれに対する法人税額が二八万三六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三一二二万八九〇〇円と右申告税額との差額三〇九四万五三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人五十嵐三二及び同佐藤昇の当公判廷における各供述

一  同被告人らの検察官に対する各供述調書

一  収税官吏の同被告人らに対する各質問てん末書

一  同被告人ら作成の各答申書

一  同被告人ら作成の「提出書」と題する各書面

一  収税官吏の新田博史、有山兼次郎、長島隆明、佐藤誠、大井孝三、山田国男に対する各質問てん末書

一  青木茂雄、早川證、家入今朝喜、株式会社富士銀行成増支店作成の各答申書

一  西川口税務署長桜井昭三作成の証明書

一  収税官吏作成の各調査書

一  西川口税務署長作成の証明書(西法一-六〇)

一  押収してある現金出納帳綴一綴(昭和六二年押第九三号の1)

(法令の適用)

被告人五十嵐三二及び同佐藤昇の判示各所為は、いずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当し、所定刑中懲役刑を各選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人五十嵐及び同佐藤を懲役一年に各処し、同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間それぞれその刑の執行を猶予する。

被告人五十嵐及び同佐藤の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同法一五九条二項を適用し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二五〇〇万円に処する。

訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文によりこれを三分し、三分の一ずつを各被告人に負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正損益計算書

大東住研株式会社

自 昭和57年8月1日

至 昭和58年7月31日

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

大東住研株式会社

自 昭和58年8月1日

至 昭和59年7月31日

〈省略〉

別紙(三)

修正損益計算書

大東住研株式会社

自 昭和59年8月1日

至 昭和60年7月31日

〈省略〉

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